これから社会に出る大学生が「レイヤー化する世界」で生きるためにすべき3つの決意【書評】

佐々木俊尚氏のレイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)を読みました。歴史をひもとき、新たな社会システムを予想した著書となっていました。現代社会に疑問を持ち、将来に不安と希望をいだく大学生であれば、是非とも手にとっていただきたいと思いました。

 

「ウチとソト」縦割りの関係から「レイヤー」フラットな関係へとシフト

ヨーロッパが世界の中心となってから20世紀まで、1つの国民が1つの国家を形成していました。そして、国のウチとソトに分け、戦争が絶えない時代を築きました。帝国主義の植民地政策により、中東やアジア地域を支配し、領土拡大によって経済を潤していたのです。

巨大企業のウチとソト。
その外側に、国民国家のウチとソト
さらにその外側に、ヨーロッパのウチとソト

大きな企業を生み、ウチにいる従業員や利益を守ります。ソトの国家を敵とみなすことでウチを潤す、国民国家の誕生。ヨーロッパを中心に社会システムを築き、ヨーロッパとそのソトという関係性。これが、従来の社会システムを表していたのですね。

 

インターネットがフラットな関係を生み出し世界はレイヤー化する

しかし、インターネットの普及により社会システムは不具合を生じ始めました。欧米企業のウチ側で成り立っていたものを、外側のアジアや中東が担うようになったのです。アメリカとインドはちょうど時差が12時間ほど違います。そのため、交代で業務を担当することで、24時間稼働させることができるのです。

また、アジアの人件費は非常に安いため、低コストで生産を行うことを可能にしました。タイでの洪水で日本企業が打撃を受けたことがあったと思います。それは、海外に工場を設置し、現地の人を雇い、輸入するスタイルを取っているからです。

 

 ウチとソトの関係が崩れレイヤー化した世界を生きる

経済を例に挙げましたが、僕たちのライフスタイルにも「レイヤー化する世界」は影響を与えます。グローバル化、ダイバーシティ(多様性)など、現代を説明するコトバをまとめると、「レイヤー化」と言い換えることができると思いました。

境界のないレイヤーが重なりあってできあがっている

たとえば音楽やテレビ、本といった娯楽は、次のようなレイヤーにスライスされていきます。
インターネットというインフラのレイヤー。
楽曲や番組、本などが販売されるストアのレイヤー。
どんな音楽や番組が面白いのかという情報が流れる、メディアのレイヤー。
購入した楽曲や番組を、テレビや音楽プレーヤーやスマートフォンやパソコンで楽しむという機器のレイヤー。
そして楽曲や番組そのものというコンテンツのレイヤー。

土台にあるのはなんでしょうか。インターネットというインフラのレイヤーですよね。実は、これが権力を持っているのです。サンドイッチで言う、一番下にあるパンです。人間であってもレイヤー構造は説明できます。

日本人という国籍のレイヤー。
大学生という職業のレイヤー。
横浜市出身という出身地のレイヤー。
高校野球部出身という高校球児のレイヤー。
和太鼓をやっているという趣味のレイヤー。

個人もレイヤーで切り分けることができます。レイヤーの上にはたくさんの人がいます。高校野球部出身というだけで、つながりを持つこともできます。レイヤー化する世界の魅力は、簡単に人とつながりをつくれるところにあるのです。

 

レイヤー化する社会を生きるためにすべき3つの決意

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。レイヤー化する社会を生きるためにはどうすればいいのでしょうか。本書を読んで得られた3つを決意として紹介したいと思います。

 

多くのレイヤーとつながりをもつためにチャレンジ

レイヤー化する社会では、同じレイヤーの人と簡単につながることができます。FacebookやTwitterで検索すればあっという間に見つけられます。人とのつながりを生かすことができれば、将来の選択肢も増えることになるでしょう。つながりを生み出すためにも、積極的に人と会うことをしていくべきだと思います。

学生であれば、学生が企画するイベントに参加するとイイでしょう。学内でも頻繁に開催されていると思います。趣味のレイヤーもつながりやすいでしょう。スポーツや音楽、共通する趣味の集まりに参加してみましょう。

つながりのキッカケは同じレイヤーですが、互いに影響を受けることになります。すると、自分自身のレイヤーの拡張が行われるでしょう。つまり、新たなレイヤーの発見です。すると、そのレイヤーを利用してどんどんとネットワークを広げることができます。

 

自分を構成しているレイヤーを自覚する

レイヤーを利用したつながりを生み出すには、自分のレイヤーを自覚する必要があると思います。様々なレイヤーが重なり合ってできた個人ですが、レイヤー構成は自分で見つけるほかありません。

言い方を変えれば、「いろんな切り口で自分を見つめてみる」といえるでしょう。就活が終わったばかりの僕にとっては自己分析にも聞こえますが、ちょっと似ているのかもしれません。参考になるのはアメトーークです。「○○芸人」は性格のレイヤーという区分だといえます。

テレビのコンテンツとしてもレイヤーが成立させているのは、1つの社会変革の影響ではないでしょうか。共感したり、できなかったり、無意識のうちに自分のレイヤーを見つけることをたしなむ人が多くなっているのでしょう。

 

従来の価値観を否定し社会が変わることを受け止める

今まで社会を支えてきていた縦割りのシステムは崩壊していきます。当たり前だと思っていた価値観は失われ、新たな価値観が正しいとされます。世界の変化についていくことを受け止めるべきだと思います。

21世紀以降の未来について、ネガティブな意見がネット上では多く見られます。ですが、人は不確定な未来に不安をもつのです。ネガティブな意見、社会変革に否定的な意見、出るのは当たり前です。しかし、現実から逃げてしまうのは危険だと思います。

社会が変化する事実を認め、受け止めるべきなのです。そして、その上で理想の未来に対してどんなアプローチができるかを考えるべきなのだと思います。「レイヤー化する世界」が、Happyな未来を引き寄せることを願い、自分の手で引き寄せるための行動をしていくべきなのでしょう。