『はたらく』がコミュニティを生む中心へ【Radical Japanese Musicレポート①】

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※アイキャッチ画像等は、本人様の許可をいただきました!

 

1月18日に、吉井盛悟さんのライブ”RADICAL JAPANESE MUSIC LIVE“を観に行きました。昨年、太鼓芸能集団 鼓童を離れ、ソロ奏者として独立されました。つまり今回は、ソロ活動スタートとなるライブなのです。

 

 

「ライブレポートを書こう!」と最初は思っていたのですが止めました。ステージの様子を文字化するのが難しい(という僕の文章力の限界がある)ためでもありますが、もっと面白い発見があったからです。

 

人は、独りが好き。だけど、つながりを求め続ける。

来場者全員に配られるパンフレットを読みました。これがとっても面白いのです。日本の祭りや芸能の切り口から、人と人との絆、コミュニティについての考察。そして、これからの未来にどのような音楽があるべきなのかを問いかけています。

 

伝統芸能がある地域では、いまだ強いコミュニティが形成されています。が、新興住宅地など、最近できた街には伝統がありません。僕たちは、どのようにしてコミュニティと向き合うべきなのでしょうか。

 

 思ったより人という生き物は「独り」を求めているようにも思えます。特に現代は豊かになったこともあってなのか分かりませんが「人と距離をおくことで得る安心感」が蔓延しているように思っています。人と関わらなくても生きられる時代は、関わらないほうが楽と思える社会を築きました。
(中略)
 古く日本には、作業唄のように実生活の中で欠かせない日常的な音楽がありました。その音楽は普段の仕事を充実させ、もの足りない心を少しずつ満たしてくれたようです。そういった音楽を実用音楽と呼ぶ学者もいます。その呼び方を借りて言うならば、現代の実用音楽とは「live」なのかも知れないと思っています。
 実生活の中でのふとした心の穴を満たしてくれる音楽はどのようなものなのか。それを日本の野性味ある音に尋ねていきます。今ここにいらっしゃる方々だけでなく、歴史の時間軸をも越えて新たな共感共同体を繋げていけたならば嬉しいです。

−RADICAL JAPANESE MUSIC LIVEパンフレットより抜粋

 

地域コミュニティの崩壊は、『はたらく』が生活の中心にあるから。

昨年末、家・職場コミュニティに関する面白い記事をEvernoteにクリップしたのを思い出しました。

 

産業革命が起こり、交通の便が向上しました。すると、移動時間が短くなり、人との距離が相対的に縮まります。すると、居住地域に縛られない、広大なネットワークが形成されるのです。地域コミュニティが崩壊したというより、地域を越えたつながりを、生み出せるようになりました。

 

いわゆる会社という組織というのは、実は産業革命が起こってできたもので、それ以前っていうのは人類の99%は家で仕事をしていたらしいです。ところが産業革命が起こって、紙が印刷されて、いろんなエネルギーができて、みんなでひとつのビジネスを行おうっていうふうになりました。それが会社っていう形になって、お父さんは家にいるだけじゃなくて、朝には会社に出かけていって、そこで仕事をするという形に変わってきたのは、なんとたかだか150年前。本当の意味での会社という機能が世の中に存在し始めたのはたかだか100年前です。皆さん会社っていうものがこれから永遠に続くと思ってるかもしれませんけれど、今の形での会社という組織というのはもう崩れ始めています。会社の持つ意味というのは実は非常にいろんな意味があって、例えば昔、家でだけ仕事をしていた人というのは24時間の時間のほとんどを家族というコミュニティで、近所のコミュニティの中で過ごしていたわけです。

ところが今、その中の最低8時間、人によっては12時間から16時間という時間を、家以外の会社、仕事場っていうコミュニティで過ごしていますよね。当然のことながら家のコミュニティよりも会社のコミュニティの方が実ははるかに重要な意味合いを持ってきている。その後例えばPTAの集まりであるとか、いろんなジムに行ったりとか、今の皆さんというのは自分の中で最低4つのコミュニティを持っているって言われます。4つのコミュニティの中で、住んでいる家のコミュニティは実は一番重要じゃないコミュニティになってきているからこそ、近所付き合いがなくなってきているのは実はごく当たり前のことなんです。そうすると会社の機能というものが実は昔の家族と同じくらい大きい意味合いを持ってきて、そこで例えばいろんな、何かエンターテインメントしたりとか、植物を植えたりとか、一緒にご飯を食べに行ったりとかっていうのは、実はこれは当たり前の姿で、だから家庭崩壊が起こるんです。僕らが今の24時間の中で、通勤という時間を費やしている時間が何時間あるかと考えて、経営者として考えると、これは無駄ですね。それを省こうと思うと、家で仕事しなさいよ、となる。仕組みがきちんとできてて、それで結果がちゃんと出せる人であれば、家で仕事をした方がよっぽど結果は出るというのは皆さんももうお気付きで、実際そうしている方というのもこの中に実際にいらっしゃると思う。
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職場が家から会社へ変わり、コミュニティの重要性もシフトした。

1度目の革命は農業です。狩猟採集生活から、田畑をもち、特定の地域に定住する生活スタイルに変わりました。農業には役割分担が必要です。人々を束ねる、リーダーが仕切るようになります。そして、村にコミュニティが誕生しました。

 

それからしばらく、革命は起こりませんが、農業の発展はコミュニティにも影響します。日本の芸能の多くは、この1度目の革命後に生まれ、発展してきました。次の産業革命までの時間が長かった分、より強力なコミュニティになったと考えられます。

 

2度目は産業革命です。問屋制家内工業から工場制手工業に変わったのは歴史で習った通りです。家から工場へと職場が移動しました。戦後、産業がとてつもなく発展した高度経済成長期に、地域コミュニティが弱体化しました。いや、むしろ、仕事がコミュニティの中心になったのです。

 

家で過ごす時間より、職場ではたらく時間が長くなりました。そして、徐々に職場のコミュニティに価値がシフトしていきます。

 

そして、3度目にIT革命が起きました。物理的な距離とは無関係に、人と人とが瞬時に繋がれる時代の到来です。そして、仕事場がオフィスの範囲を超え、グローバルにまで広がりました。つまり、コミュニティが世界規模に拡大したことを意味します。

 

一方で、ノマドワーカーという新たな働き方が登場しました。働く場所を選ばず、家やカフェで仕事をするのです。彼らに固定のオフィスは必要ありません。好きな場所で、好きな時間をする新しいスタイルを築きました。

 

しかし、はたらき方が変わっても、『はたらく』がコミュニティを生む中心であることに変わりはありませんでした。

 

みなさんは、co-workingスペースと呼ばれる、シェアオフィスがあるのはご存知でしょうか。実は、ノマドワーカーの中にはシェアオフィスではたらく人がいるのです。それぞれ別の使命を担うノマドワーカーが集まり、同じ場所で仕事をします。

 

固定された職場から開放されたノマドワーカーでさえ、いっしょに仕事する場所を求めているのです。非常に面白いですよね。しかも、業務の協力はしていないため、生産性の向上に直接はリンクしていないのです。やはり、人間は根源的に、人とのつながりを求めているのでしょう。

 

『はたらく』が生活の中心で、コミュニティが生まれる。

僕たちは『はたらく』を重要視するようになりました。オフィスがあろうが、なかろうが、関係ありません。生活のほとんどを『はたらく』に費やしているからです。家で過ごす時間より、仕事している時間の方が確実に長いですもんね。

 

現代社会では、『職場コミュニティ』が中心になっていることがわかります。工場勤務も、サラリーマンも、ノマドも、はたらくを通して生まれるコミュニティを大切にします。これは、文化として成りたっているでしょう。

 

仕事のつながりが中心にあり、さまざまな共通点が橋渡しをする。

『異業種交流会』のようなコミュニティも、主体となっているのは『はたらく』です。いろんな業界ではたらく人が集まって、新しいつながりを生み出します。「じゃあ、異業種をつなぐ架け橋となるのは何だろう?」その疑問に答えてくれるのは、仕事と無関係な共通点です。

 

はたらき方が多様化し、仕事だけでは共通の話題が見つかりません。だから、仕事とは別に共通点を見つけようとするのです。音楽を通してつながってもよし。スポーツもよし。仕事と無関係なつながりから、コミュニティが発展していきます。

 

最近では、弱いつながりが大事だという考えもあります。共通点のつながりは、ここでいう弱いつながりとも言えるのです。(参照リンク:『弱い繋がりこそ大切にすべき』ジャーナリスト佐々木俊尚さんに繋がりについての考えと、今後のEightの方向性についてのご意見を伺いました。(中編) | 50万人が使う名刺管理アプリEight『弱い繋がりこそ大切にすべき』ジャーナリスト佐々木俊尚さんに繋がりについての考えと、今後のEightの方向性についてのご意見を伺いました。(中編) | 50万人が使う名刺管理アプリEight

 

やはり、『はたらく』を切り離して考えることはできません。今も、そしてこれからもです。

 

つながりを考える上で、佐々木俊尚さんの【レイヤー化する世界】は参考になります。

 

 

『はたらく』とコミュニティについては、まだまだ深く考えていきたいテーマですね。意見などがあれば、コメント欄にお願いします!